Tokyo

韓国・五人の作家 五つのヒンセク〈白〉

2018/3/10–4/28

この度、東京画廊+BTAPは1975年の「韓国・五人の作家 五つのヒンセク〈白〉」展を再び開催する運びとなりました。

東京画廊が1975年に行った「韓国・五人の作家 五つのヒンセク〈白〉」展は、韓国の現代美術を日本にはじめて紹介した展覧会です。1972年、オーナーの山本孝は、日本以外のアジアの美術に目を向けるべく、アーティストの斉藤義重や高松次郎、美術評論家の中原佑介とともに韓国を訪れます。これをきっかけとして企画された同展には、権寧禹(1926-2013)、朴栖甫(1931-)、徐承元(1941-)、許榥(1946-)、李東熀(1946-2013)という五人のアーティストが参加しました。白色を基調とした彼らの出展作は、現在国際的に注目が高まる韓国の単色画の源流として認知されています。

単色画とは、1970年代ごろに始まった韓国美術の傾向で、同時代に運動として組織されたものではありませんが、モノクロームや反復性、マテリアルの可塑性などを共通の特徴としています。西洋におけるアンフォルメルやミニマリスムと同時代の美術動向ですが、アジア的心性を基盤とするその表現は、描くという行為を通じて、所与としての自然と対峙することを目指すものです。彼らの試みは、現在、韓国最初の前衛絵画として国際的評価を得ています。

最初の「ヒンセク」展から43年を経て企画される本展では、それぞれの作家の当時の作品と近作を並べて展示いたします。同じ東京という土地において、43年という時間の経過が、作風の継続性と変化として現れることは興味深いことでしょう。

WORKS

Artist
朴栖甫 / Park Seo-Bo
Title
描法 No.1-67
Year
1967
Size
64.8 x 91 cm
Material
Pencil, oil on canvas
Artist
朴栖甫 / Park Seo-Bo
Title
描法 No.160418
Year
Size
91 x 70 cm
Material
Mixed Media with Korean hanji Paper on Canvas
Artist
朴栖甫 / Park Seo-Bo
Title
描法 No.160302
Year
2016
Size
70 x 91 cm
Material
Mixed Media with Korean hanji Paper on Canvas
Artist
権寧禹 / Kwon Young-Woo
Title
無題
Year
1976
Size
162 x 130 cm
Material
Korean paper
Artist
権寧禹 / Kwon Young-Woo
Title
無題
Year
1977
Size
145 x 97 cm
Material
Korean paper
Artist
権寧禹 / Kwon Young-Woo
Title
無題
Year
1982
Size
71 x 62 cm
Material
Korean paper
Artist
許晃 / Hur Hwang
Title
可変意識 74-3
Year
1974
Size
152 x 130 cm
Material
Oil on canvas
Artist
許晃 / Hur Hwang
Title
意識の光
Year
2010
Size
162.2 x 130.3 cm
Material
Mixed media on canvas
Artist
李東熀 / Lee Dong-Youb
Title
状況 A
Year
1974
Size
100 x 80 cm
Material
Oil on canvas
Artist
李東熀 / Lee Dong-Youb
Title
Year
1981
Size
72.7 x 60.6 cm
Material
Oil on canvas
Artist
徐承元 / Suh Seung-Won
Title
同時性 77-36
Year
1977
Size
161.8 x 130 cm
Material
Oil on canvas
Artist
徐承元 / Suh Seung-Won
Title
同時性 17-329
Year
2017
Size
162 x 130.3 cm
Material
Acrylic on canvas

朴栖甫(Park Seo-Bo)は1931年に韓国の慶尚北道、醴泉に生まれ、1954年に弘益大学美術学部絵画科を卒業後、1961年のパリ滞在を経て、モノクロームの線画や韓紙の質感を活かした作風を発展させました。韓国現代美術の先駆的存在であり、韓国単色画(Dansaekhwa)を代表する作家です。
朴は「エクリチュール」シリーズで最もよく知られています。1960年代後半に始められた「エクリチュール」シリーズは、道教や仏教の哲学や韓国の書道の伝統を起源とし、時間、空間、物質の概念と密接に結びついています。初期の作品では、まだ乾いていない単色の絵の具の表面に鉛筆の線画を描いていましたが、後期の作品では、韓国の伝統的な和紙である韓紙を重層的に用い、指や器具で表面に縦線を入れて幾何学的な起伏を作ります。こうして生まれる形態や色彩の限定性はミニマルアートを思わせるものですが、「描く」ことを通じて反復的行為を写し取ってゆくその作品は、西洋のコンセプチュアル・アートとは異なる経路を通じて、ある精神性へと至る試みと言えるでしょう。

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