Tokyo

入江早耶 見出されたかたち

2013/9/7–2022/9/28

入江は1983年岡山県生まれ。2009年に広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程を修了し、現在広島を拠点に活動しています。2009年に岡本太郎現代芸術賞に入選、2012年には第6回shiseido egg賞を受賞しました。2013年7月にはロンドンのICNギャラリーで個展を開催予定の新進気鋭のアーティストです。

入江は二次元のイメージを消しゴムで消し、その消しゴムカスを用いて立体を作り上げるアーティストです。掛け軸の中から消えた観音像が現実の空間に立体として立ち上げられ、また別の作品では、紙幣の肖像画が胸像となって紙幣の上に配置されます。イメージとして流通し、流通することによって日常的な存在となっている図像を、自らの手で一旦消し去り、それを現実の空間に塑像として作り上げる入江の作品は、表象との関わりを巡る現代的な問題をユーモラスに提起しています。

本展では、これまでに発表された作品の他、最新作を発表致します。新作において入江は、歴史的な絵画の写真複製を用いて、それを三次元に立ち上げることを試みています。レディメイドとして入ってくるイメージに対し能動的に関わることは、入江がこれまで一貫して追求してきたテーマです。



「古代から日本列島に住む人々は、自らを囲む全てのモノとコトに精霊が宿ると信じていました。山や木や花などの自然のモノばかりではなく、自らが造る家や道具にまで何かを感じ取り、「もったいない」と言葉にしてモノを大切に扱ってきました。
このモノがあふれる現代の消費社会で、私たちにそのことを思い出させるのが入江早耶の表現です。
私が最初に出会ったのは、古い掛け軸の前に小さな人物が立つ作品でした。あまりにも小さいので、目を凝らしてみると布袋様です。しかも掛け軸の中に描かれた布袋様が消しゴムで消されています。なんと布袋様は消しゴムの消しカスで作られた彫塑となって立っています。画のなかに閉じ込められた布袋を画の外へ出したと思わせる魔法のようなアートです。
2012年の資生堂ギャラリーで展示されたどの作品も、消費材から立ち上る精霊を暗示していました。表現に使われた素材に魂を吹き込み、人々のコミュニケーションに役立つことがアートの基本の姿だとすると、入江の作品はうってつけの表現と言えるでしょう。
「もったいない」という知性は資源に限りが見えてきた21世紀にコミュニケーションの主題となるに間違い有りません。」  山本豊津

入江は1983年岡山県生まれ。2009年に広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程を修了し、現在広島を拠点に活動しています。2009年に岡本太郎現代芸術賞に入選、2012年には第6回shiseido egg賞を受賞しました。入江は二次元のイメージを消しゴムで消し、その消しゴムカスを用いて立体を作り上げるアーティストです。掛け軸の中から消えた観音像が現実の空間に立体として立ち上げられ、また別の作品では、紙幣の肖像画が胸像となって紙幣の上に配置されます。イメージとして流通し、流通することによって日常的な存在となっている図像を、自らの手で一旦消し去り、それを現実の空間に塑像として作り上げる入江の作品は、表象との関わりを巡る現代的な問題をユーモラスに提起しています。

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