Tokyo

ヒューマン・ドキュメンツ'84/'85-11

1985/7/15–7/27

出品作家:桂ゆき、川端実、斎藤義重、朴栖甫 、堀内正和

桂ゆき

大正生まれの桂ゆき(1913-1991)は、戦前から紙やコルクを用いたコラージュ作品を制作し、その後も抽象から風刺・戯画的なものまで、多彩な技法とスタイルで多くの作品を生み出しました。昭和の戦前期には東郷青児らのアヴァンギャルド洋画研究所に通い、二科展の前衛グループ・九室会 の創立メンバーとなるなど、日本前衛絵画の創成期に深く関わっています。第二次世界大戦前後の日本美術の一貫性を読み解く上で興味深いアーティストの一人です。

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朴栖甫(Park Seo-Bo)は1931年に韓国の慶尚北道、醴泉に生まれ、1954年に弘益大学美術学部絵画科を卒業後、1961年のパリ滞在を経て、モノクロームの線画や韓紙の質感を活かした作風を発展させました。韓国現代美術の先駆的存在であり、韓国単色画(Dansaekhwa)を代表する作家です。
朴は「エクリチュール」シリーズで最もよく知られています。1960年代後半に始められた「エクリチュール」シリーズは、道教や仏教の哲学や韓国の書道の伝統を起源とし、時間、空間、物質の概念と密接に結びついています。初期の作品では、まだ乾いていない単色の絵の具の表面に鉛筆の線画を描いていましたが、後期の作品では、韓国の伝統的な和紙である韓紙を重層的に用い、指や器具で表面に縦線を入れて幾何学的な起伏を作ります。こうして生まれる形態や色彩の限定性はミニマルアートを思わせるものですが、「描く」ことを通じて反復的行為を写し取ってゆくその作品は、西洋のコンセプチュアル・アートとは異なる経路を通じて、ある精神性へと至る試みと言えるでしょう。

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