Tokyo

瀧本光國 そこにあるものがいつのものなのか

2025/8/23–9/27

東京画廊+BTAP では、2025 年8 月23 日(土)より、瀧本光國による個展「そこにあるものが
いつのものなのか」を開催いたします。2002 年の第1 回から、今回で5 回目の弊ギャラリーで
の開催となります。本展では、長年にわたり木彫を通して時間と空間の多相性を探求してきた
瀧本による、新たな展開を示す作品群を公開いたします。

瀧本光國(1952 年生まれ)は、1977 年にイタリアへ渡り、彫刻家・豊福知徳に師事。以降45
年以上にわたり、木彫を中心に独自の造形表現を追求してきました。仏像修復の専門家として
の活動を背景に、古材や伝統技法への深い理解を持ちつつ、絵画的イメージや記憶の残像など
流動体や不確定なものを立体風景として木彫表現する試みを続けています。昨年、北九州市立
美術館で開催された「瀧本光國ー水ー」展はその高度な木彫技術と彫刻観が高く評価されまし
た。

本展では、平安〜鎌倉期の白描絵巻《鳥獣人物戯画》を起点とし、古今東西のさまざまな要素
を取り込みながら、彫刻として展開した新作群を展示いたします。白描ならではの流動性や、
絵巻物が持つ時間の推移を、彫刻という静的な形式の中にいかに取り込むかという挑戦が試み
られています。一部の作品では、法隆寺の古材や、瀧本がミラノで最初に制作した青海波の模
様なども用いられ、素材そのものが持つ歴史性も作品の一部として立ち現れます。また、作家
が長年取り組んできたシリーズ「瀧」や「雲烟」の新作も発表予定です。水や雲といった絶え
ず変化し続ける存在を、木彫という静的な素材によって捉えようとする試みは、観る者に対し
て、物質と身体、時間と記憶の関係性をあらためて問い直す契機となることでしょう。

本展では、過去と現在、素材と表現との対話から生まれる「相」の世界を、ぜひ会場にてご体
感ください。

WORKS

Title
相ー兎II「鳥獣戯画より」
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
24.5 × 23.8 × 15.8 cm
お問合わせ
Title
相ー兎S2「鳥獣戯画より」
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
15 × 18.8 × 13 cm
お問合わせ
Title
相ー兎Ⅳ「鳥獣戯画より」
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
11 × 23 × 14 cm
お問合わせ
Title
相ー兎Ⅵ「鳥獣戯画より」
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
20.5 × 15 × 8.5 cm
お問合わせ
Title
相ー観る「鳥獣戯画より」
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
24.5 × 23.5 × 15.3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−1
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
18 × 15 × 3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−2
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
19.8 × 16 × 3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−3
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
20 × 16 × 3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−4
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
26.5 × 18.8 × 3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−5
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
31.7 × 18.8 × 3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−6
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
29.6 × 23.3 × 3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−7
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
24.5 × 23.5 × 15.3 cm
お問合わせ
Title
作品2025−8
Year
2025
Material
Merkus pine, white clay, gesso
Size
90 × 61 × 3 cm
お問合わせ
Title
無題(97年改作)
Year
1997(2025)
Material
Katsura, acrylic
Size
64 × 42 × 4 cm
お問合わせ
Title
相ー兎Ⅲ「鳥獣戯画より」
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
23.5 × 20 × 19.7 cm
お問合わせ
Title
雲烟’25-Ⅱ
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
86.5 × 25.5 × 25 cm
お問合わせ
Title
雲烟’25-Ⅰ
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
112 × 53 × 37 cm
お問合わせ
Title
瀧’25-Ⅰ
Year
2025
Material
Camphor wood, white clay, pigment
Size
209 × 71 × 48 cm
お問合わせ

瀧本光國

瀧本光國は1952年福岡県生まれ。1977年にイタリアに渡りミラノで活躍する豊福知徳に師事し、以降、伝統技法を守りながら、45年にわたり一貫して木彫の作品を制作してきました。また瀧本は古い仏像修復の専門家としても活動しています。1980年代、豊福の影響を受けてレリーフ状の抽象彫刻を制作していた瀧本は、90年代に表現を変化させ、具象へと近づいて行きます。具象とは言っても、瀧本が対象として選んできたのは滝や川、あるいは雲や煙など、見る人の記憶にかすかな残像として留まるかたちばかりです。これら流動的なかたちの表面に残されたノミ跡は、制作という行為の痕跡であると同時に、不定形のイメージを掴もうとする意識の働きを象徴するものです。

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