Tokyo
ミクロサロン 2014
2014/12/6–2015/12/27
Tokyo
2014/12/6–2015/12/27
入江は1983年岡山県生まれ。2009年に広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程を修了し、現在広島を拠点に活動しています。2009年に岡本太郎現代芸術賞に入選、2012年には第6回shiseido egg賞を受賞しました。入江は二次元のイメージを消しゴムで消し、その消しゴムカスを用いて立体を作り上げるアーティストです。掛け軸の中から消えた観音像が現実の空間に立体として立ち上げられ、また別の作品では、紙幣の肖像画が胸像となって紙幣の上に配置されます。イメージとして流通し、流通することによって日常的な存在となっている図像を、自らの手で一旦消し去り、それを現実の空間に塑像として作り上げる入江の作品は、表象との関わりを巡る現代的な問題をユーモラスに提起しています。
Learn More金田勝一は1970年京都府生まれ。1995年に京都市立芸術大学美術研究科(絵画専攻)修了後、京都を拠点に制作活動を行っています。2009年から京都市立芸術大学で油画の教鞭を取っています。作品表面の艶やかな色が印象的な金田の作品は、絵画、立体ともにFRP/樹脂を支持体とし、油絵具、ニス、アクリルラッカー、自動車用塗料、デカール、サーフェーサーなど、異なる素材を巧みに組み合わせて制作されています。金田の代表作であるF-1をモチーフにしたシリーズ《Human's Own》は、利益を求めて社会をさまよう人間の本質を、スピードの象徴であるF-1車と動きを止めると死ぬサメを重ね合わせて表現しています。
Learn More北川宏人は1967年、滋賀県生まれ。1989年に金沢美術工芸大学を卒業後、マリノ・マリーニなどの当時のイタリア具象彫刻家に憧れ単身で渡伊。アカデミア美術学院ミラノ校とカラーラ校で学び、テラコッタの古典的彫刻技法を習得します。帰国後は一貫してテラコッタを使用した彫刻を制作し国内外の美術館とギャラリーで作品を発表。近年では金沢21世紀美術館のコレクション展に出展するなど原始素材である土の素材感にアクリル絵具で生彩を与え、現代に生きる人間像を表現しています。
Learn More杉山功は1977年に東京造形大学彫刻科を卒業後、同大学研究室へ進学。1983年、卒業と同時にイタリアへと渡り、カラーラ美術アカデミーに入学します。卒業後はイタリアに留まり、ミラノ、カラーラを拠点に制作活動を行ってきました。これまで主にヨーロッパで個展を開催し、世界各地のグループ展やアートフェアで作品を発表しています。
杉山の彫刻は大理石と木から成ります。未加工の大理石を自然に見立て、そこに家のフォルムを配置することで、文明の存在をほのめかすのです。ゆっくりと風化していく石と、早々と朽ちて消える木の対比によって、自然の時間と文明の時間の異なるリズムが喚起されます。このような光景を俯瞰する作家あるいは我々の視点は、世界の全体を捉えようとする宗教的なビジョンとも言えるのです。
平良美樹は1984年生まれ。東京学芸大学書道専攻を卒業後、日本の昔話をテーマに書を用いた立体作品を制作しています。2006年のGEISAI#10で銀賞を受賞して以降、国内外のグループ展、アートフェアで作品を発表しています。平良は地方に伝わる口承文芸をもとに作品制作を行います。麦茶で染められ、縫い合わされた硬い麻布が登場人物となって立ち上がり、その表面には物語が漢字と片仮名でぎっしりと書き込まれます。布の質感と文字の筆触が古色を漂わせる一方で、抽象化された作品のフォルムはどこか滑稽で、独特のユーモアをもたらします。
Learn More瀧本光國は1952年福岡県生まれ。1977年にイタリアに渡りミラノで活躍する豊福知徳に師事し、以降、伝統技法を守りながら、45年にわたり一貫して木彫の作品を制作してきました。また瀧本は古い仏像修復の専門家としても活動しています。1980年代、豊福の影響を受けてレリーフ状の抽象彫刻を制作していた瀧本は、90年代に表現を変化させ、具象へと近づいて行きます。具象とは言っても、瀧本が対象として選んできたのは滝や川、あるいは雲や煙など、見る人の記憶にかすかな残像として留まるかたちばかりです。これら流動的なかたちの表面に残されたノミ跡は、制作という行為の痕跡であると同時に、不定形のイメージを掴もうとする意識の働きを象徴するものです。
Learn More1970年長野生まれ。東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。卒業後は版画を中心に制作活動を続けていましたが、思考のより直接的な表現を求めて絵画へ移行します。2003年にオペラシティアートギャラリーでの個展開催を皮切りに、2004年にVOCA展入賞、2006年に香港とソウルで個展が開催されるなど、活動の幅を大きく広げました。平坦で現実味のないフラットな背景に、会社員や家族などの群衆を俯瞰構図で描く西澤の作品は、現代社会に対する不安感とユーモアが入り交じります。
Learn More林武史は1956年岐阜県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科を修了後、1998-99年に文部省在外研究員としてパリに滞在しました。2024年東京藝術大学美術学部彫刻家教授を退任。2012年には「第六回円空大賞展 大地と共鳴 -- 創造の原風景」で円空賞を受賞しています。林の彫刻の特徴は、複数の石を配置して抽象的な空間を創造することにあります。さまざまな形状の石を複数用いることで、石と石、さらには石と空間の関係性を追求するアーティストです。
Learn More松浦浩之は 1964 年東京生まれ。2005 年に東京画廊で開催された個展『Super Acrylic Skin』で デザイナーからアーティストへと転身し、以降、絵画、立体、版画など作品の形式を広げな がら、国内外で作家活動を行っています。2017年、オランダの Volkenkund Museum(ライデン)と Tropen Museum(アムステルダム)で開催された展覧会『Cool Japan: World Fascination in Focus』では、高さ 4 メートルの大作<Uki-uki>(2012)を出品し、展覧会のメイン PR イメージとして使用されました。同展はその後ベルギーの Museum aan de Stroom(アントワープ)に巡回し、好評を納めました。
Learn More宮澤男爵は2004年に東京都が主催する公募展「トーキョー・ワンダーウォール公募2004」で入選し、東京画廊+BTAP(東京)において、2008年に古林希望との二人展、2010年に個展を開催。更に国内外のアートフェアで作品を発表しています。宮澤男爵は、主に鉛筆を用いていくつもの細かい線や丸、水彩の色のにじみを利用して不定形な人物を描きます。描かれたイメージは画面上に定着せず、絶えず何かが動いているような印象を与えます。まさにそれは存在としての消息を感じられ、現代の人々のうつろいやすい、不安な気分を象徴している作品です
Learn More吉田茂規は1963年茨城県生まれ。1987年に和光大学を卒業後、版画や絵画作品を中心に制作していました。1997年に文化庁芸術家在外研究員としてニューヨークに派遣後、活動の場をニューヨークへ移します。ニューヨーク市立大学ハンター校(CUNY)へ進学し、写真の授業を受けたことがきっかけとなり、その後は写真を媒体に作品を発表しています。
吉田の写真作品は共通して、人々が普段目にしているような日常的な風景が被写体となっています。アパートの階段、美術館の展示室、ニューヨークの街区など、視覚には確かに捉えられているものの、記憶には残らないイメージが、ゼラチンシルバープリントによる深い陰影によって映し出されています。吉田の写真は、刻一刻と表情を変える自然光のある瞬間を捉え、それを見る者の時間へと引き渡そうという試みとも言えます。
王舒野は1963年中国黒龍江省生まれ。1989年に北京の中央工芸美術学院(現・清華大学美術学院)を卒業し、同年に制作した卒業作品で中国政府経済産業省の「金龍騰飛賞」最高賞を受賞しました。その後、1990年に来日するも、2001年の個展開催に至るまでの10年間作品発表を行わず、芸術の精神的探求に日々没頭します。2001年の鎌倉での個展開催を皮切りに、主に東京と鎌倉で作品を発表し、2009年には池田20世紀美術館で回顧展『肯定の目光に・王舒野の世界展』を行います。現在も鎌倉を拠点に、強靭な探求心に導かれた作品制作を続けています。
無数の筆触がキャンバスを覆う王の作品は、ストロークの集積によって深遠で静謐な景観を現出させます。その視覚空間は認識の対象として捉えられる以前の世界そのものであり、大画面を前にした鑑賞者は、現在の時の拘束を離れ、流転する時空世界を発見するのです。主に墨や鉛筆を用いていた王は、2007年に素材を油彩へと移行させ、自身の創造世界に新たな展望を示しました。作家の視覚は輪郭線に従うことを止め、まさに物質と触れるような距離にまで接近しています。
葉剣青(Ye Jian Qing)は1972年中国南部の都市、寧海市生まれ。1998年に中国中央美術学院壁画専攻を卒業、2007年に同大学院造形類油絵専攻にて博士号を取得。北京を拠点に制作活動を行っています。大学の卒業作品<移民傾向>が学内において優秀賞を受賞し、岡松家族奨学金を獲得しました。現在は中央美術学院壁画学部にて教鞭を執ります。
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