Tokyo

林武史 雨をまたぐ

2025/5/24–6/28

東京画廊+BTAPは5月 24日(土)より、林武史「雨をまたぐ」展を開催致します。1995年の第1回から、今回で6回目の弊ギャラリーでの開催となります。

林武史は1956年、岐阜県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科を修了後、1998年から一年間、文部省在外研究員としてパリに滞在しました。2007年に「第22回 現代日本彫刻展」で毎日新聞社賞を受賞、2012年には「第六回円空大賞展 大地と共鳴 — 創造の原風景」で円空賞を受賞しました。2024年に長らく勤めた東京藝術大学彫刻科教授を退任。現在に至るまで、岐阜県白川町に構えたアトリエで制作を続けています。

林武史の作品は、その制作歴を貫く文脈と完成度に大きな魅力があります。代表作品には、ホワイトキューブの空間と一体化したインスタレーション「はかること」(1997年、東京画廊)、土を石と組み合わせた「水田−南有馬」(2004年、長崎県南有馬町)、登れる作品として制作された「石間」(2006年、東京画廊)、茶席で使われる風炉先屏風を模した「石の言葉」(2014年、東京画廊)などがあります。このように、林は彫刻からの逸脱を繰り返しながら、自然や歴史を取り込むことで石の表現の可能性を広げています。

林の彫刻の特徴は、複数の石を配置して抽象的な空間を創造することにあります。今回の展覧会では境界線を定める作品によって、画廊の空間を分断し、彫刻に秘められたダイナミズムを示唆する作品が展示されます。

5月24日(土)、16時より、アーティストを囲んでのレセプションを開催致します。是非とも皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

作家コメント
今回のテーマは「雨」。
子供の頃から雨の時間に興味を持ち続けている。昼の雨は外で遊べないし、今では制作がしづらい。しかし、ぼんやり雨を眺める時間が好きだ。その時何を想ったかは何も思い出せないが、いくつかその時のシチュエーションはなぜか鮮明に浮かぶ。雨も霧雨と土砂降りでは印象が違う。どのような雨であれ私にとっては気になって仕方がないものである。
雨は幽玄な時空を創出させる。そして怪しげな事象を生む。

「雨の森」は、水草の菱の実(菱角)がモチーフになっている。台湾で初めて出会った時、味より形態に強く興味を持った。山盛りの菱の実を見ながら、テトラポットを連想したり、人の股が絡み合う状況を思うことで想像が膨らんだ。造りながら、この山盛り状態は将棋崩しの遊びにも似ていて、面白くなった。

菱の実を台車の上に乗せたのは、移動可能な状態を暗示したかった。位置が定まらない揺らぎやブレを意識したものである。映像のような残像が簡単に動くこともない石の彫刻で感じられないだろうか・・・。少しの時間、気にせず作品を眺めていると、いろいろと不思議なことを想う時空が創出できれば良いと思う。

WORKS

Title
雨の森
Year
2024
Material
Marble, wooden shelf
Size
47.5 x 40 x 32 cm
お問合わせ
Title
雨の森
Year
2024
Material
Marble, wooden shelf
Size
43 x 40 x 32 cm
お問合わせ

林武史は1956年岐阜県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科を修了後、1998-99年に文部省在外研究員としてパリに滞在しました。2024年東京藝術大学美術学部彫刻家教授を退任。2012年には「第六回円空大賞展 大地と共鳴 -- 創造の原風景」で円空賞を受賞しています。林の彫刻の特徴は、複数の石を配置して抽象的な空間を創造することにあります。さまざまな形状の石を複数用いることで、石と石、さらには石と空間の関係性を追求するアーティストです。

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