Tokyo

矢柳剛  一日一生、365日の痕跡 そして今

2009/6/5–6/27

矢柳 剛 個展「一日一生、365日の痕跡 そして今」
2009/6/5(fri) - 6/27(sat)

オープニング・レセプション
2009年6月5日(金)|18:00-20:00
東京画廊 + BTAPにて

「森羅万象ことごとく、美はどこにでもころがっている。ころがっている美をどの位置で創造していくかが問題であり、アーティストとの資質にかかわってくる。だから、私にとって「一日一生」とは、初心であり芸術に人生をかけているということだ!!!ギャラリーの空間にどのような感覚で挑んで行くのかがとわれている。天井と床、壁をふる回転させて、自由闊達に表現したいと思っている。むかしむかし、50年前、牧場で使用された牛乳管一本が、私のアトリエに労働の美学として鎮座してきました。この牛乳管にあふれんばかりの生乳を入れて持ちこもうと思っている。床に設置された牛乳管が多種多様な作品の中でインスタレーションされているので、まったく「謎」である。謎が謎を呼応して不思議な空間世界をかもし出してくれるかもしれない。私は、今、願望しているところだ。」
矢柳剛 2009.3.29

この度、東京画廊 + BTAPでは2009年6月5日(金)より矢柳剛個展『一日一生、365日の痕跡 そして今』を開催いたします。東京画廊 + BTAPでの2度目の個展となる本展では、1983年に制作された一連のドローイングをはじめ、油彩画、オブジェなどの幅広い形式の作品を多数展示いたします。

矢柳剛の作品は、明快な輪郭と鮮烈な色彩によって描かれたイメージ、そして矢柳スタイルとも呼べる大柄の縞模様によって構成されています。人間・動物・植物などが互いに競り合うように大胆に配置され、人間界と自然界が自在に湧き出し交錯するような世界が画面全体に広がります。

本展で矢柳が発表するのは、1983年に制作した365点のドローイング作品です。同年の1月1日から12月31日まで、作家は1日も休まず描き続けました。構成されていく日々の痕跡は、万華鏡のようにダイナミックな変化を遂げます。また本展では、北海道の牧場に生まれ育った矢柳が、保管していた牛乳管を使ってインスタレーションを行います。さらに油彩・版画・オブジェなど、これまでの多岐にわたる制作活動を振り返ることで、作家独自の世界観の展開が照らし出されることでしょう。

矢柳剛は世界各地を遍歴するなかで、あらゆる地球環境やそこで生まれる人間社会と対峙してきました。その時々で出会った形象は材料として収集され、生命力を吹き込まれて画面上でしのぎを削ります。さまざまな時空がせめぎ合う矢柳剛の作品世界を、是非この機会にご高覧ください。


[作家紹介]
矢柳剛は1933年北海道帯広市生まれ。1951年、帯広農業高校を卒業後、東京星薬科大学に入学しますが、途中同大学を中退し画家としての道を歩み始めます。1957年にブラジルのサンパウロへ渡航。同市内の近代美術館で個展を開催するなど、異国の地で精力的に作家活動を行いました。その後はアフリカ、シンガポール、マニラ、香港と各地を旅行。1965年にはフランスのパリへと移り住み、その後3年間、銅版画の巨匠であるヘイター(S.W. Hayter)のアトリエ17で版画を学びました。矢柳はこれまで国内外数多くの展覧会に出品し、油彩、版画、デザインなどの幅広い分野で国際的に活躍してきました。

掲載評論:峯村敏明『記号の回廊に舞う』