Tokyo

吉田茂規  Identical Light

2008/6/18–7/12

オープニングレセプション:6月18日(水)18:00-20:00
イベント:6月21日(土)14:00-
笠原美智子氏(東京都写真美術館チーフキュレーター)× 吉田茂規

東京画廊 + BTAPでは、吉田茂規(よしだしげき)個展『Identical Light』を開催いたします。東京画廊 + BTAPでは初めてとなる本展覧会では、光をテーマにしたモノクロ写真31点が発表されます。展覧会初日には、作家を囲んでのオープニング・レセプションを開催いたします。また6月21日(土)14:00からは、東京都写真美術館チーフキュレーターの笠原美智子氏をゲストに迎えトークショーを行います。

吉田茂規は1963年茨城県生まれ。1987年に和光大学を卒業後、版画や絵画作品を発表していましたが、1997年に文化庁芸術家在外研究員としてNYに派遣後、活動の場をNYに移します。NYのハンターカレッジへ進学し写真の授業を取ったことがきっかけとなり、その後は写真を媒体に作品を発表しています。

現在もNYで活動を続けている吉田茂規が2000年から撮影し続けているIdentical Lightシリーズは、吉田の「写真が目には見えないものも捉えることができるのではないか」という発想から撮られた、光をテーマにした作品です。そもそも光とは実体のないものであり、何かに反射することによってはじめて認識されるものです。
ニューヨークでの毎日の生活環境の中で目にする建物や道に反射する、目に入るが目に留まらないその光を捉えた作品を通して、作品の中の光が、見る人の記憶に触れ、その人の心の中で何かを形作ることを願いながら作品を撮っています。

その光を捉えることのできる媒体として、吉田はモノクロ写真を用います。「モノクロ写真は使い尽くされた媒体と思われがちだが、私にとっては、刻々と変化し二度と同じ貌を見せない光を捉える手段(支持体)である」と言っています。そして「私がモノクロ写真に魅せられるのは、それが日常を取り巻く不確かで触発的な光の存在に気付かせてくれるからだ。写真は私にとって、見逃しがちなしかし大切な何かを認識する過程である」とも言っています。撮影する場所に存在している光のみで撮影し、特別な舞台装置や視覚的操作を用いないにも関わらず、正方形のゼラチンシルバープリントが放つ独特な白黒の陰影は、非現実的な神秘性を備えています。

日常の生活風景を撮りながらも、「見えないものをも写すことができるという写真の可能性」を信じ、日常と記憶を詩的に繋げ、独特の映像美を作り上げている吉田茂規の作品を、この機会にぜひご高覧ください。

吉田茂規

吉田茂規は1963年茨城県生まれ。1987年に和光大学を卒業後、版画や絵画作品を中心に制作していました。1997年に文化庁芸術家在外研究員としてニューヨークに派遣後、活動の場をニューヨークへ移します。ニューヨーク市立大学ハンター校(CUNY)へ進学し、写真の授業を受けたことがきっかけとなり、その後は写真を媒体に作品を発表しています。

吉田の写真作品は共通して、人々が普段目にしているような日常的な風景が被写体となっています。アパートの階段、美術館の展示室、ニューヨークの街区など、視覚には確かに捉えられているものの、記憶には残らないイメージが、ゼラチンシルバープリントによる深い陰影によって映し出されています。吉田の写真は、刻一刻と表情を変える自然光のある瞬間を捉え、それを見る者の時間へと引き渡そうという試みとも言えます。

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