History

東京画廊は2020年に70周年を迎えました。日本最初の現代美術画廊として、欧米の新しい動向を導入するほか、日本の戦後美術、韓国・中国の現代美術をいち早く取り扱い、世界に紹介してきました。

2002年には北京・大山子地区にBTAP(ビータップ)をオープン。2006年に、屋号を東京画廊+BTAPと改め、東京と北京を拠点に、幅広い世代・地域のアーティストを国内外に発信しています。東京画廊は山本豊津、BTAPは田畑幸人が代表を務めています。

The 1950s

古美術商・平山堂商店に勤めていた山本孝は、1948年に東京画廊の前身となる数寄屋橋画廊を銀座に設立しました。その後、のちの南画廊のオーナー、志水楠男とともに1950年に東京画廊を設立します。

開廊した当初の展覧会は洋画・日本画が中心でしたが、山本は評論家・瀧口修造の紹介で斎藤義重と出会い、1958年に個展を開催します。この抽象絵画展がきっかけとなり、東京画廊は国内外のさまざまな現代美術を扱うことになります。

Saito Yoshishige Solo Exhibition (1958)
Exterior of Tokyo Gallery (“Saito Yoshishige Solo Exhibition”)

The 1960s

山本がヨーロッパの抽象絵画に出会ったのは、1953年の初渡欧の際でした。その後、1960年代の東京画廊は、ルチオ・フォンタナ、イヴ・クライン、ジャクソン・ポロック、フンデルトワッサー、ザオ・ウーキーなど、数々の外国人作家の展覧会を通じて、日本に新しい表現を紹介しています。

また1960年代は日本の戦後美術が最も熱を帯びた時期です。東京画廊では具体美術協会の吉原治良、白髪一雄、元永定正、前衛美術グループ「ネオダダ」の吉村益信、篠原有司男、また「ハイ・レッド・センター」の高松次郎など、数多くの個展を開催しました。

また、中原佑介と石子順造の企画によって開催した『トリックス・アンド・ヴィジョン』展(1968年、村松画廊共催)は、もの派につながる潮流を形成していったという点で、 歴史的に高く評価されている展覧会です。

Hundertwasser Solo Exhibition (1961)
Zao Wouki Solo Exhibition (1961)
Lucio Fontana Solo Exhibition (1962)
Kazuo Shiraga Solo Exhibition (1962)
Jiro Takamatsu Solo Exhibition (1966)
Ushio Shinohara Solo Exhibition (1966)
Tricks and Vision (Stolen Eyes) at Tokyo Gallery (1968)

The 1970s

若手アーティストの李禹煥、関根伸夫、吉田克朗、小清水漸、菅木志雄、成田克彦、榎倉康二が中心となって、1960年代末から70年代中盤まで続いた美術動向は、後に「もの派」と名付けられました。東京画廊は「もの派」のアーティストの個展を、1969年以降継続して開催しています。

また、1970年代は東京画廊がアジア諸国に目を向けた時期です。山本はまだ戒厳令下にあった韓国を訪れ、朴栖甫、李東熀、徐承元、許熀、権寧禹の5人の作家を選び、グループ展『5つのヒンセク<白>韓国五人の作家展』を企画します。その後も、金煥基、金昌烈、朴栖甫、李禹煥、沈文燮、尹享根、丁昌變、李康昭らの個展を開催し、韓国美術の紹介は東京画廊の活動の主要な柱になっていきます。

Lee Ufan Solo Exhibition (1973)
Nobuo Sekine Solo Exhibition (1969)
Katsuro Yoshida Solo Exhibition (1979)
Susumu Koshimizu Solo Exhibition (1980)
Kishio Suga Solo Exhibition (1976)
Koji Enokura Solo Exhibition (1978)
Five Hinsek ‘White’ 5 Korean Artists (1975)

The 1980s-1990s

1989年2月、田畑幸人が北京で開催されていた『中国現代芸術展』(中国美術館)を訪れたことをきっかけに、同年7月に『中国現代美術<今>展』を開催しました。こうして、中国現代美術への取り組みが本格的にスタートします。

1991年には『中国現代芸術展』で知り合った徐冰の個展を開催し、彼の代表作である<Book from the Sky>を展示しました。また、蔡国強とは日本滞在中の1980年代から交流を持ち、1991年のグループ展『アジアの浪<中国>』展に出品、1994年には個展『蔡國強:炎について』を開催しています。

Chinese Contemporary Art ‘Now’ Exhibition (1989)
Xu Bing Solo Exhibition (1991)
Asian New Wave: China (1991)

BTAP opens

2002年、中国人アーティスト黄鋭の協力を得て、大山子798芸術区にBTAP (Beijing Tokyo Art Projects)をオープンしました。第一回目の展覧会は評論家・馮博一を招き、グループ展『北京東京藝術工程首展—北京“浮世絵”』を開催しました。

その後、BTAPは実験性の高い展覧会を企画してゆきます。中国初となった抽象絵画の展覧会『数珠と筆触』(キュレーター:栗憲庭、2003年)、コンクリートの中に24時間立て籠るパフォーマンスを行った何雲昌の『鋳』(キュレーター:唐昕、2004年)、そして、作家の母親が捨てられずにためていた無数の物品を並べた宋冬の『物尽其用/Waste Not』(キュレーター:巫鸿、2005年)などは、東京画廊+BTAPの新たな展開を象徴する展覧会となりました。

Beijing Tokyo Art Projects Opening Exhibition: Beijing Afloat (2002), 
Installation View
Curator’s Notes on Prayer Beads and Brush Strokes (2003), 
Installation View
Casting: HE Yuchang’s Performance Work (2004), 
Installation View
Zhao Xiangyuan and Song Dong’s exhibitionWaste Not 
(2005), Installation View

Present

東京画廊+BTAPは継続して日本の戦後美術を海外に紹介しています。また、次世代のアーティストの発見・紹介にも力を注ぎ、アジアの幅広い年代にわたる現代美術を扱う日本、中国の主力画廊として、海外のアートフェアにも積極的に参加しています。

Art Basel, Installation view (2019)
Tokyo Gallery Interior View/ Hiroyuki Matsuura Solo Exhibition
Super Acrylic Skin – TOKYO-GA (2019) , Installation View
BTAP Interior View / We Will Meet Again: TOKYO GALLERY + BTAP
70th Anniversary Special Exhibition, Installation View

Archive

東京画廊+BTAPには開廊当初からの資料がたくさん残されています。現像されていない写真フィルムも多く残っており、美術館の協力を得ながらアーカイブの整理、デジタル化を進めています。
歴史性は東京画廊+BTAPの最も重要な特徴です。アーティスト、コレクター、キュレーターなど、多くの方に画廊のアーカイブを開き、研究や創作の参考となるようにと願っています。

Tokyo Gallery + BTAP Archival Material