東京画廊+BTAPでは、2025年10月4日(土)より、入江早耶による個展「カガヤク日常ノ微塵」を開催いたします。2013年の第1回個展以来、当ギャラリーでは2度目の個展となります。
入江早耶(1983年 岡山県生まれ)は、二次元のイメージを消しゴムで消去し、その消しカスを素材として立体へと変換する独自の手法で注目されるアーティストです。お菓子の箱や紙袋といった日用品から、掛軸や博物画、古写真といった骨董品まで、既存のイメージを出発点とし、それらを異化して新たな神話に再構築していきます。
本展「カガヤク日常ノ微塵」では、消費社会の象徴を祈りの造形へと組み替え、現代の集合的イメージを立ち上げる《木土偶地蔵ダスト》をはじめ、青森で滞在制作されたレリーフ《烏賊十手観音ダスト》など、複数のシリーズを紹介します。
《烏賊十手観音ダスト》はイカを観音像に重ねた巨大な造形であり、豊かな海と食文化に根ざして、段ボールに刻まれた祈りと記憶を新たなモニュメントとして現前させます。野鳥図鑑を素材にした《バードダスト》シリーズでは、図鑑から消し取ったイメージのカスを用いて小さな野鳥を立体化し、平面から解き放たれた自由な姿を甦らせます。また、昭和期の都市写真を素材に、時代の残滓を異時同図的なかたちへと転生させる試みも発表されます。これらのシリーズは、日常の断片に潜む霊性や記憶をすくい上げることで、未来に開かれた神話となって立ち現れます。
入江の実践は、情報と物質、日常と信仰、記録と創造を横断しながら、「見えないものを見えるようにする」芸術を提示します。消費と記憶が交錯する日常の微塵から、かがやく新たな世界が創造されていきます。
入江早耶
1983年岡山県生まれ。2009年広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。広島を拠点に活動するアーティスト。国内外での個展や企画展、芸術祭への参加、近年は滞在制作にも力を入れている。二次元のイメージを消しゴムで消し、そのカスを素材として立体作品へと変換する独自の手法を展開。掛け軸のなかに描かれた観音像を立体化した作品や、日用品と日常会話を素材に新たな神話として再構成した作品など、既存の図像に対する異化的なアプローチを通して、現代における「表象と物質」の関係を再考させる。ユーモアを交えつつ、視覚文化における記憶や信仰のあり方を問い直す実践を続けている。
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